(4-1-4)バイオバンク通信第8号

バイオバンク通信

ご質問にお答えします。

遺伝子型判定(タイピング)とは何ですか?

 ヒトのゲノムには30億の文字が書かれています。この中で個人個人の文字の並びが違うところを「遺伝子型」と呼びます。「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」では、個々人が持っている遺伝子の「型」と、病気のなりやすさや薬の効き易さ、副作用の出易さとの関係を明らかにするための研究をしています。この研究に欠かせないのが、遺伝子の「型」を判定する技術です。型判定の方法はいくつかありますが、オーダーメイド医療実現化プロジェクトで使われているのは、ゲノム上の1文字の違いを判定する一塩基多型(SNP;スニップ)解析法と呼ばれる手法です。

具体的にはどんなことをするのですか?

 「遺伝子の型判定」には、DNA 鎖の狙った箇所と試薬を反応させ、文字の違いを認識できるようにすることが必要です。そのために、文字の違いを光の色の違いに変えて判定します。具体的には、次のようになります。

材料: 1. DNA  2. 試薬

遺伝子型解析システムTPSA-003号


プレートを挿入すると解析がはじまります

道具: 1. 反応に使うプレートまたはビーズ
2. 反応結果を読み取るための機械
方法: (1) DNA 片の狙った箇所を増やす
(2) DNA と試薬を反応させ、光(蛍光)を出す。
(3) 機械で光を読みとる。

型判定に使う試薬は、文字の違いに応じて異なる色に光るようにできています。この光の色で型を判定します。光は目で見ることはできませんので、機械が読み取って、結果をコンピュータの画面上で表示させます。このDNA の型判定は、種々の工程を踏むために、各段階の正確さ、かかる時間の短さが、技術の要となります。より優れた型判定技術を目指して、これまで様々な工夫がなされてきました。

◆オーダーメイド医療実現化プロジェクトの型判定技術

「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」の研究協力機関の一つ、理化学研究所は、独自の型判定の技術(マルチプレックスPCR を併用したインベーダー法)を開発したことで知られています。現在、理化学研究所では、SNP チップを用いて、一か月に一人当たり60万か所の遺伝子型を3,000人分解析するという大量高速システムを用いた解析を進めています。

◆研究から臨床へ

 「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」では、研究推進のために使われてきた型判定技術を、診療の現場でも利用できるようにするための技術開発にも取り組んできました。その成果として、本通信第1号でもお伝えした、理研ジェネシスと共同開発した小型遺伝子型解析システムがあります。最近TPSA-003 と名付けられたこの機械は、インベーダー法を用いて遺伝子型判定の全行程を約45分で行なうことを可能にし、世界からも注目を集めています。現在は臨床研究の段階ですが、応用が目指される範囲は病院にとどまりません。犯罪捜査の現場でも、この遺伝子型判定技術の利用価値が認められつつあります。詳しくは、次の記事をお読み下さい。

オランダ法科学研究所と理研ゲノム医科学研究センターが研究協力

 より早く、より正確に遺伝子型を判定することを可能にした理化学研究所(理研)の技術は、医療の分野だけでなく犯罪捜査の現場でも注目を集めています。2005年には、日本の警察庁科学警察研究所(科警研)と共同研究する契約を締結し、一 塩基多型(SNP;スニップ)解析法を用いた新しいDNA 鑑定法の開発を進めてきました。そして、去る10月26日、オランダの法科学研究所と、SNP 解析法を科学捜査のための新たなDNA鑑定法として確立することを目指す研究で協力する「覚書」を締結しました。
 SNP 解析法を用いると、これまでの方法では鑑定に用いることができなかった極微量の試料(細胞)や、古い試料でも、鑑定を行なうことができます。加えて、理研ジェネシスの開発した機器を用いると、鑑定時間を大幅に 今回の日本とオランダの研究協力によって、SNP解析法が次世代の DNA 鑑定法として日本だけでなく世界で広く実用化されることが、期待されています。実用化されることが、期待されています。

 

【編集後記】

 お店のショーウィンドウに、クリスマスの飾り付けが見られるようになりました。気がつけば師走。みなさまが今号を受け取ら れる時には、新しい年を向かえていることでしょう。2009年もみなさまには本当にお世話になりました。
新年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2010年がみなさまにとって良い一年となりますように。

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オーダーメイド医療実現化プロジェクト事務局
〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1
東京大学医科学研究所内
電話・ファックス(03)5449-5122

バイオバンク通信は、ご協力頂いた皆様に感謝を込めて、研究の状況をお知らせするために発行しております。
編集人:張瓊方・洪賢秀・武藤香織・渡部麻衣子(東京大学医科学研究所内  ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野)
印刷:瑞穂印刷株式会社

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バイオバンク通信8月号  4/4 page

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