研究成果の案内(2010.8.16)

ケロイドの発症に関連する4つの遺伝領域を発見

-転写量調節遺伝子やタンパク質分解遺伝子の遺伝的な背景の違いが
発症原因と突き止める-

 

◆本研究成果のポイント

○日本人のケロイドをゲノムワイドに解析、遺伝的素因の実態を初めて解明
○発見した4つの遺伝子・遺伝領域の発症リスクは、それぞれ1.5~2.0倍
○ケロイドの発症に、転写量調節遺伝子(FOXL2)やたんぱく質分解遺伝子(NEDD4)の
 個人差が関与する可能性が明らかに

 

◆概要

 東京大学医科学研究所(清木元治所長)および独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、ケロイドの発症に関連する4つの 遺伝領域(3番染色体FOXL2、15番染色体NEDD4, 1番及び3番染色体上の2つの遺伝領域)を発見しました。東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター(中村祐輔センター長)、理研ゲノム医科学研究センター(鎌谷直之センター長)多型解析技術開発チーム (久保充明チームリーダー)との共同研究による成果です。
 ケロイドは、外傷や手術などが原因で、皮膚組織が線維増殖性に大きく盛り上がる病気で、前胸部や肩などに生じやすく、痛みや かゆみなどを伴い著しく生活の質を低下させる病気です。また最近は女性のピアス孔に生じる場合があり、美容上も非常に大きな 問題となることがあります。外科手術や電子線治療、ステロイド軟膏による治療が一般的ですが、再発しやすく難治性のため 患者さんが苦しむことが少なくありません。
 今回、研究グループは、「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」のバイオバンク・ジャパンに登録されている日本人のケロイド 患者820例と一般集団3,205例のサンプルを用いてゲノムワイド解析を行い、3番染色体上のFOXL2遺伝子、15番染色体上のNEDD4, 1番 及び3番染色体上の1つずつの遺伝領域がケロイドの発症と関連することを発見しました。これらの遺伝子のリスク多型を持つ人では、 FOXL2遺伝子で1.9倍、NEDD4遺伝子で1.5倍、1番及び3番染色体上の遺伝領域で1.8倍および2.0倍ケロイド発症のリスクが高くなって いることが分かりました。
 FOXL2は性腺刺激ホルモン放出ホルモンや体内でのステロイド合成にかかわっていることが知られており、一方で女性ホルモンと ケロイドが関係しているという報告もあることから、今回の結果はこれを裏付けるものかもしれないと考えられます。
 皮膚組織におけるこれらの遺伝子の機能や、ケロイドの発症機序の解明が進むことで、ケロイドの新規治療法の開発につながることが 期待できます。
 本研究成果は、米国の科学雑誌『Nature Genetics』に掲載されるに先立ち、オンライン版(8月15日付け:日本時間8月16日)に 掲載されました。

 

◆発表雑誌

電子版ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics online)

 
 

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